【補足説明3】ハンドメイド作品販売価格の決め方《試作材料費、送料、販売手数料編》
この記事では、「【前半】ハンドメイド作品の 作家を永く続けられる、販売価格の決め方をわかりやすく解説《作品制作にかかる費用の計算方法編》」という記事の、制作してから販売するまでにかかる費用について、9つの項目に分けて解説します。
この記事に書かれている費用項目は以下の３つです。
その他の項目については、元の記事にリンクがございます。
⑦ 試作で使用した材料費
同じ商品ばかり作っていては、お客様に飽きられてしまいますので、新しい商品の開発も、ハンドメイド作家の大切な仕事です。
日頃から、気になった材料を見つけると、ついつい購入してしまう作家さんも多いかもしれません。
しかし、仕入れたものの中には、商品にならなかった材料などもあるのではないでしょうか。
一つ一つは少額でも、全てを合わせると、そこそこ無視できない金額になってしまいそうです。
そこで、おすすめなのが、気になったときに好きなだけ購入するのではなく、月ごとに予算を決めて管理し、しっかり、商品価格にも反映させる方法です。
それでは、その子さんの例を見てみましょう。
その子さんの試作で使用した材料費(ひと月に40セット作る場合)
その子さんは試作にかける費用をひと月1500円と決めています。
日頃から気になる材料にはアンテナを張り巡らせ、予算の中で少しづつ気になる材料を集めます。
そして、季節の変わり目は、商品の転換期なので、その少し前に集めた材料を使って試作をし、季節ごとに新しいお洋服を開発しています。
材料との巡りあわせは、一期一会なので、予算を超えてどうしても欲しい材料に出会ってしまうこともあるでしょう。
そんな時は、我慢せずに購入し、翌月の予算を少なくして調整しています。
それでは、一セットごとにかかる予算を求めていきましょう。
1500円 ÷ 40セット ＝ 37.5円
1セットの試作で使用した材料費 38円 (繰り上げ)
⑧ 送料は、販売サイトごとにチェック
販売サイトによって、商品代金に送料が含まれる場合と含まれない場合があります。
例えば、minneやcreema、BASEのように、送料が商品代金に含まれない場合、販売価格に送料を含める必要はありません。
※配送料として、しっかり徴収する必要はあります。
しかし、フリマアプリのメルカリやラクマなどは、商品代金に送料も含まれているので、販売価格にも送料を含める必要があります。
また、サイトごとに使用できる配送方法も配送料金も異なります。
複数のサイトに作品を出品している場合、それぞれのサイトで販売価格や配送料が異なることに不安を感じるかもしれません。
しかし、家電でも洋服でも同じ商品を楽天で購入するのとアマゾンで購入するのとで価格が異なるでしょう。
また、結構前ですが、電気屋さんが「当店より安い商品を見つけたら、他店でもネットでも、それより安く販売します。」みたいなのが流行りましたね。
しかし、ハンドメイド作品は、家電ではありません。
そして私たちは、敏腕家電ディーラーでもないのです。
一番安い販売価格や送料に合わせて、他サイトの販売価格まで値下げしてしまったら、えらいことです。
ここはおとなしく、それぞれのサイトで送料を計算し、サイトごとに販売価格を変えることをおすすめします。
どうしても統一したいなら、せめて一番高いところにしてください。
これは、後の項目に出てくる、販売手数料に関しても言えることです。
お客様への対応を丁寧に行いたい場合は、SNSなどで、どのサイトで購入するのが一番お得か、等の情報を発信しても良いでしょう。
私も、お問い合わせのあったお客様には、その都度サイトごとの送料をご説明し、お得な購入方法をお伝えしています。
毎回一からメッセージを考えるのは大変なので、テンプレートであらかじめ用意しておくと楽ですよ。
その子さんの送料
その子さんの出品している販売サイトは、minne、メルカリ、BASEで、その他に委託販売先１件と年に一度イベントに出店しています。
委託販売先やイベント出店時には、配送の必要がなく送料がかからないので、販売価格にも含めません。その分、手数料や参加費用がかかってくるので、別に算出します。
次にそれぞれの販売サイトを見ていきましょう。
minne、BASEでは、配送料が商品価格に含まれないので、販売価格にも含めません。
その代わり、配送料として商品代金とは別に徴収することを忘れないようにしましょう。
ちなみにその子さんは、どちらのサイトでも配送方法としてクリックポストを利用しており、一回の発送に198円を徴収しています。
メルカリは、送料を「出品者負担」と「購入者負担」で選択することができますが、大多数の方が「出品者負担」を選択しているため、販売時に「購入者負担」と明記していても、取引後にトラブルになることが多いようです。
ここは、「出品者負担」を選択し、ちゃっかり販売価格に入れ込んでしまいましょう。
ちなみに、その子さんは、らくらくメルカリ便のネコポス(175円、A4、厚さ3㎝以下、1kg以内)を利用しています。
ネコポスと同等の大きさの商品で、100g以内でしたら、定形外の普通郵便(～140円)の方が安く配送できますので、こちらもおすすめです。
ただ、定形外は追跡がつかないので、ある程度値の張る商品を配送する場合は、追跡付きのネコポスの方が安心かもしれません。
また、複数購入するお客様へは事前にコメントなどで伝えてもらい、割引してあげると親切かもしれません。
1セットの送料 175円 (メルカリで発送するときのみ)
※minne、BASEでは198円を商品代金とは別に徴収
⑨ 販売手数料は、最後に乗せる
ハンドメイドマーケットを介して商品の販売を行う場合、必ずとられてしまうのが、販売手数料です。
送料と同様、販売サイトによって異なるので、それぞれ計算する必要があります。
主なハンドメイドマーケットの販売手数料
(R3.10月現在)
minne 10.56%
creema 10%
メルカリ 10%
ラクマ 6.0%
BASE 6.6％ ＋ 40円
次に、販売手数料を含めた販売価格の計算方法を解説します。
この計算のコツは、最後に計算するところにあります。
販売手数料を除いたすべての経費、乗せたい利益(＋αの利益)を計算し、たし合わせた値に、“販売手数料(%)/100”をかけると、販売手数料を求めることができます。
ここで、注意しなければならないのが、それぞれの販売サイトの送料の取り扱い方です。
例えばcreemaは、商品代金にしか手数料がかからないので、送料を含めない経費の合計に“販売手数料(%)/100”をかけることで、販売手数料を求めることができます。
しかし、メルカリ、ラクマ、minnneなどの販売サイトでは、送料込みの金額に手数料がかかるため、送料も含めた経費の合計金額に“販売手数料(%)/100”をかける必要があります。
それでは、その子さんの作品制作にかかった費用を例に、販売手数料を含めた販売価格を求めていきましょう。
その子さんの販売手数料を含めた販売価格
①～⑦の合計金額は、1950円
その子さんの出品している販売サイトは、minne、メルカリ、BASEなので、それぞれの販売サイトで利用している配送方法の料金を加え、販売手数料を計算すると、
minneの場合
(1950円 ＋ 198円) × (0.1056) ＝ 226.8円
1950円 ＋ 226.8円 ＝ 2176.8円
＋αの利益をのせる前の販売価格 2177円 (送料別 198円)
メルカリの場合
(1950円 ＋ 175円) × (1＋0.1) ＝ 2337.5円
＋αの利益をのせる前の販売価格 2338円 (送料込)
BASEの場合
(1950円 ＋ 198円) × (0．066) ＋ 40円 ＝ 181.7円
1950円 ＋ 181.7円 ＝ 2131.7円
＋αの利益をのせる前の販売価格 2132円 (送料別 198円)
その子さんは現在、minne、メルカリ、BASEのどの販売サイトでも、一セット1500円で販売しています。
まだ、＋αの利益をのせていないのに、計算した販売価格よりかなり低い金額であることに気が付くでしょう。
実際にメルカリで一セット販売した際の利益を求めてみますと、
1500円 － 370円 － 59円 － 250円 － 84円 － 33円 － 38円 － 175円 － (1500円×10%/100) = 341円
※商品価格から、作業費を除いたすべての経費を引いています。
もう、嫌な予感しかしませんが、その子さんの時給も計算してみましょう。
341円 × 4セット ÷ 3時間 = 454.6円
その子さんの時給 454円 (切り捨て)
ブラックですね。
という時給になってしまいましたが、こんなのはまだ可愛いものかもしれません。
私が初めてこの方法で自分の時給を計算した時は、23円になりました。
計算しながら、あれ？これ赤字なんじゃない？赤字なんじゃない？とひやひやしながら、最後まで利益が残るのかドキドキしたのを思い出します。
現在は、販売価格を大幅に上げ、各項目に関しても見直しを行ったので、納得のいく時給になりました。
販売価格の上げ方や、各項目の見直し方法については、別の記事でご説明するつもりです。
完成次第こちらにリンクを張る予定ですので、楽しみにお待ちください。
その他の販売項目をご覧になりたい方は下記リンクよりどうぞ。
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